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保険適用、負荷少なく 磁性アタッチメント義歯

 今月から義歯に用いられる磁性アタッチメントが健康保険適用になりました。磁性アタッチメントとは、義歯と歯根を磁石の力でくっつけるもので、義歯を安定させ外れにくくするのに有効な手段の一つです。

 これは義歯の内面に設置された磁石と、歯根部分に設置されるステンレス製の「キーパー」と呼ばれる台からなります。総義歯にはもちろんのこと部分義歯にも適用できますが、いずれも炎症がなく、動きの少ない歯根が必要になります。

 従来の歯根に設置する金属(根面板)は、かむ力を支えてくれるだけですが、磁性アタッチメントはその上に義歯が外れにくくする力のコントロールを容易にできるので、患者にとって着脱が簡単で使いやすい義歯になります。部分義歯の場合にはクラスプと呼ばれる、歯にかけるバネを使用しなくてもすむので、見た目が良くなり、違和感も少なくなります。さらに無理な力が加わると外れて、歯根に負荷をかけすぎることもありません。

 しかし良い面ばかりではありません。磁石やキーパーには金属成分としてクロムやニッケルなどが入っているので、金属アレルギーには注意が必要です。磁気共鳴画像装置(MRI)検査をするときには義歯を外して行い、診断部位が口の底部分、舌、咽頭などキーパーに近い場合で、MRI画像のゆがみがひどく、診断が困難になるときにはキーパーを外すこともあります。

 また、歯根のまわりの歯槽骨自体はあまり吸収しませんが、歯のないところの歯槽堤、いわゆる土手の部分は、時間の経過に伴い吸収していくので痩せていきます。それまで均等に当たっていた義歯の内面がアタッチメント部分だけ強く当たるようになり、そこから義歯が割れたり、歯根が折れたりグラつきが大きくなって抜歯に至ったりすることもあります。定期的なメンテナンスが大切になります。

(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 石橋貴樹)

保険適用、負荷少なく 磁性アタッチメント義歯
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