お役立ち情報

感染症のリスク低減 鼻呼吸の大切さ

 鼻で呼吸することと、口で呼吸することは感染防御を考えると大きく違うことをご存知でしょうか。結論から言いますと、鼻で呼吸をすることが正しいと言えます。鼻の奥には多くのヒダがあり細菌やウイルスの侵襲を防ぐフィルターになっています。ヒダにたまった細菌などは鼻の奥や喉にある線毛上皮によって対外に排出されるようになっています。

 鼻が詰まっている方など、口で呼吸をする方は、細菌を防ぐ仕組みがいかされないため直接ウイルスが口や喉の粘膜に付きます。そのため感染しやすくなります。また、口で呼吸する方は喉が乾燥して喉の線毛がうまく働かないため感染リスクが高まり、喉をいためやすくなります。人が持っている感染防御機能を有効にいかすために鼻で呼吸をすることが大切です。

 近年、コロナ感染症の対策でマスクをつけることが当たり前になっています。マスクすることは細菌感染に有効ですが、マスクによって口で呼吸をしている方が増えてきていると感じます。口で呼吸をしている方は、上あごの奥歯の内側が赤く腫れてきます。口の中を拝見するとこの部分が腫れている方が多くなってきていると感じます。

 マスクが息苦しいため口で呼吸しているのかもしれません。マスクをしているので、ウイルスの侵入はある程度問題ないと思いますが、口で呼吸する習慣が身につくことによる弊害は無視できません。

 口の中が乾燥しやすくなるため、唾液による自浄作用(口の中をきれいにする仕組み)が無くなることから、ウイルスだけではなく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

 唾液の自浄作用と線毛の感染防御を低下させないため、こまめな水分補給を行い身体の乾燥を防ぐことも大切です。そして、マスクをしていてもできるだけ鼻で呼吸するように心掛けましょう。

(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 要光)

感染症のリスク低減 鼻呼吸の大切さ
haikei