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歯周病 糖尿病と深く関連

 成人の約8割が歯周病に罹患しています。初期には痛みなどの症状がないため、ほとんどの人には自覚がありませんが、実は歯を失う最大の原因は歯周病なのです。

 一方、糖尿病は、食べたものから分解された糖分が、体内に吸収されにくくなり、血液中に糖分がたまってしまう状態(高血糖)が続く病気です。糖尿病患者は生活習慣の変化等により急増しています。自覚症状が出にくいため、糖尿病と診断されても治療を受けない人や治療を中断する人が約50パーセントにもなるそうです。糖尿病で高血糖状態が続くと、心臓病、腎臓病、脳卒中、失明などの合併症を引き起こしてしまいます。

 実は、歯周病が糖尿病と深く関連する病気であることが分かり、歯周病は「糖尿病の合併症」と言われるようになりました。

 まず、糖尿病から歯周病への影響ですが、糖尿病で高血糖状態が続くと、細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下、口腔内の乾燥等が生じ、それらが歯周病を悪化させます。糖尿病だと歯周病に2.6倍かかりやすくなるという報告もあります。高血糖状態で歯ぐきの血管が傷んでしまうことで、歯周病がより重症化しやすいのです。

 次に、歯周病から糖尿病への影響については、歯周病により、歯ぐきの中で作り出される炎症性物質は、血液を介して血糖をコントロールするホルモンであるインスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させる可能性があります。特に2型糖尿病の人に関しては、歯周病の治療を行うことで、インスリンが働きやすくなることなどが報告されており、糖尿病の血糖コントロールに歯周病治療が重要であることが、認識されてきています。定期的に歯科を訪れ、歯周病のケアを怠らないようにしましょう。

(鹿児島県歯科医師会情報・対外PR委員 毛利英樹)

歯周病 糖尿病と深く関連
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