小・中学校の皆さんは新学期の始まりとともに、学校で歯科検診を受けているのではないでしょうか。虫歯や歯肉炎が見つかった場合、歯科医院を受診すると思いますが、ほかにも注意するべきことが複数あります。その一つが「中心結節」という歯の形態異常です。
下の乳歯の奥歯が抜けた後に生えてくる小臼歯によく見られ、中心部がツノのように盛り上がった形状をしています。この突起は単に歯の固い部分が形を変えて飛び出ているだけではなく、歯の中の神経も一緒に突出しています。構造は非常にもろく、だんだん歯が生えてきて、上の歯としっかりかみ合うと簡単に折れてしまいます。
誰にでも発生するものではありませんが、日本人小児の発生頻度は2.6%程度と決して低くはないのです。中心結節は必ず折れるわけではありません。しかし、一度折れると、歯の神経が炎症を起こして痛くなったり、その後、神経が死んで歯茎が腫れたりします。最悪の場合、蜂窩織炎という命に係わる状態に陥ることもあります。
定期的に歯科医院を受診していたら、上の歯とその歯がかみ合う前に、周囲を固めて折れにくくすることができます。虫歯がないからと定期受診していない場合、歯が突然痛くなって歯科医院に駆け込んでも、歯科医師が所見でそこに中心結節があったのかを判別するのが難しくなります。原因特定が難航し、症状が悪化する場合も少なくありません。
特に乳歯の交換期の間は、むし歯がなくても、かかりつけ歯科医院をつくり、定期的に受信をすることをお勧めします。何事にも未然に防ぎ、健全な永久歯歯列を手に入れることが、生涯にわたっての健康への近道かと思います。
(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 石神 慶一郎)
折れると炎症や腫れも 中心結節