歯のはなし

口腔内常在菌 有害ウイルス防ぐ働きも

 口の中に細菌がどのくらいいるかご存知でしょうか。実は700種類、100億個いるとされています。

 これらは「口腔内常在菌」と呼ばれています。そんなにいるなんて、と気分が悪くなる方もいると思いますが、細菌はすべて悪いものではなく、体の外から有害ウイルスや病原菌が体に入りこみにくくするものも存在しています。虫歯になる菌、歯周病の原因になる菌がいる一方で、体に害のない善玉菌もいます。口の中でこの菌同士が勢力争いをしているのです。

 善玉菌が優勢であればほとんど何も問題が起きません。子どもの頃、特に2~3歳までに虫歯にならないよう気を付けることは大切です。この細菌の勢力争いの中で虫歯菌の勢力を抑えることができれば、その後は虫歯のできにくい口内環境になるのです。そして、これは歯周病予防も同様です。

 口の中で起こる、代表的なトラブルの虫歯や歯周病を治療予防することは大切なことですが、口腔内常在菌のトラブルは口の中だけではありません。口腔内常在菌が歯ぐきから血管に入り菌血症という状態になることがあります。大量に菌が入ると敗血症という重篤な症状を起こします。

 皮膚であれば傷口から菌が毛間の中に入り菌血症が起こりますが、傷口がふさがってしまえば起こりません。しかし、歯周病のように常に炎症が起こっているような歯ぐき、虫歯で穴が開いている状態では、菌が簡単に血管の中に入ってしまいます。

 そして、血液の流れに乗って体のあちこちに行き着いた細菌が原因で病気が起こることが分かってきました。糖尿病、動脈硬化、関節リウマチ、認知症など、さまざまな病気を予防するためにも口腔ケアが大切なのです。

 

(鹿児島県歯科医師会理事・要 光)

口腔内常在菌 有害ウイルス防ぐ働きも
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