歯のはなし

根面う蝕 加齢などで歯の根元露出

 

 子どものむし歯は、1970年頃の「むし歯の洪水時代」に比べると激減しました。しかし現代では成人、特にに高齢者の「根面う蝕(むし歯)」が新たな問題となっています。

 歯の表面は硬いエナメル質で覆われていて、その内側は象牙質でできています。そして歯ぐきの中に埋まっている歯根(しこん)はセメント質で覆われ、同じくその内部は象牙質です。エナメル質に比べ、セメント質と象牙質は硬度が低いのです。歯の根元が何らかの力で欠けたり、削れたり、あるいは主に歯周病で歯ぐきが縮むと根面のセメント質や象牙質が露出します。そして冷たい水などにしみる知覚過敏症や根面う蝕になることが多いのです。

 写真の犬歯は歯ぐきが下がって根元にむし歯ができた状態、小臼歯・大臼歯(奥の方)は根元のエナメル質がくさび状に欠けて象牙質が露出している状況です。

 歯の根元のエナメル質がくさび状に欠けてしまうのは、就寝中の歯ぎしりやくいしばりによる強い咬合力により、エナメル質の薄い部分すなわち根元の部分が割れてしまうからです。そこに過度な力で歯みがきをすると、さらにすり減ってしまいます。

 治療としては欠けた部分が浅ければ充てん、夜間の歯ぎしりやくいしばりにはマウスピースで対応します。歯ぐきが縮むことを予防するには、歯科医院で適切なブラッシング方法を習得することと、歯周病の検査、治療を受けることが重要です。

 ただ、高齢になるほど根面う蝕が深く大きくなり、歯髄まで感染し、痛みが続いたり、重症になると歯が折れてしまうことがよくあります。

 このような理由で、要介護者の多発性根面う蝕が、在宅や施設での介護現場で問題になっているのです。

 

                                                                                (鹿児島県歯科医師会情報・対外PR委員 鬼塚一徳)

根面う蝕 加齢などで歯の根元露出
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