歯のはなし

扁平苔癬とC型肝炎 ~口内で症状出ることも~

 扁平苔癬とは皮膚や粘膜に発生する炎症性の病変で、皮膚の場合は主に手や足にでき、かゆみを感じます。粘膜にできる場合は主に口腔粘膜にみられ、舌や頬粘膜に好発します。白いレース模様ができたり、赤くただれて痛みを伴うこともあります。左右対称に現れるのも特徴で、50~60歳代以降の女性に多く発現します。治るのに時間がかかり、粘膜にできたものは、まれにがんになることもあります。

 扁平苔癬患者の8割近くが肝臓に疾患があり、そのうちの多くからC型肝炎ウィルスが見つかります。C型肝炎を引き起こし、肝炎は肝硬変やがては肝臓癌に移行することもあります。

 このC型肝炎ウィルスは口腔扁平苔癬の粘膜からも見つかります。そしてC型肝炎が治ると口腔扁平苔癬も良くなります。すなわち肝炎ウィルスは、肝臓以外でも増殖して、肝臓病以外の病気も引き起こすことが近年分かってきました。これを肝外病変といい、扁平苔癬のできる皮膚や口腔の他にも心臓、腎臓、すい臓、脳、目、甲状腺、造血器など多くの臓器で様々な病気が起こることがあります。

 口腔扁平苔癬は肝外病変のひとつなので、歯科医師が患者に肝臓の検査を勧めて肝炎を早期に発見し、その重症化を防ぐこともあり得るのです。

 C型肝炎の治療は、以前は副作用も多いインターフェロンという薬を注射していましたが、2014年以降は抗ウィルス薬を飲むだけでほぼ完治できるようになりました。しかも副作用もほとんどありません。ただ欠点としてその飲み薬が高価であることと、どんな薬も効かないウィルスを発現させてしまうという薬剤耐性の問題があります。

口腔も全身の臓器の一つと捉えて、病気の早期発見、早期治療につなげることが大切です。

 

この記事は佐賀大学長尾 由実子教授の研究並びに「歯科医療に役立つC型肝炎ウイルスの豆知識」をもとに書かれました。

                                ( 情報・対外PR委員会委員 石橋 貴樹 )

扁平苔癬とC型肝炎 ~口内で症状出ることも~
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