歯のはなし

認知症と口の関係 かむ行為が脳を刺激する

 厚生労働省によると認知症の患者数は2025年には700万人前後にまで増加して、65歳以上の高齢者の約5人に1人になる見込みです。ある研究では、高齢者で健康な人は平均14.9本の歯が残っているのに対して、認知症の疑いのある人では9.4本と明らかな差が見られます。また、残っている歯が少ないほど、脳の機能が低下してしまうことも分かっています。

 カナダの脳神経外科医ペンフィールドは、脳の中で刺激を感じる所と運動の指令を出すところが、身体のどの部位に対応するかを示した脳地図を作りました。それを立体的に表したものが、「ホムンクルス」です。手とあご、舌、唇が極端に大きいことが分かります。それだけ脳と深く関わっているということです。

 認知症予防には、手先を使うと良いと言われますが、口にも同じことが言えます。歯根の周りにある歯根膜はとても精密なセンサーで、かんだ時の刺激を脳に伝えます。

 しかも歯根膜は三叉神経という脳神経の支配なので、刺激が効率よく脳に伝わります。

 歯が20本以上ある人と比べて歯が無く入れ歯も入れていない人は、約2倍も認知症になりやすく、よくかんで食べられる人に対して、あまりかめない人は1.5倍認知症になりやすいという研究結果もあります。

 そこで歯科医師会では、80歳で20本の歯を残しましょうという8020運動と、ひと口30回かみましょうというカミング30を推奨しています。ただし、悪いかみ合わせで無理してかむと、あごの関節や筋肉を痛めることがあるので注意が必要です。まず自分の歯を多く残すことと、よくかめる義歯、よいかみ合わせが認知症を予防するカギとなるのです。

                              (鹿児島県歯科医師会対外PR委員 石橋貴樹)

認知症と口の関係 かむ行為が脳を刺激する
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